Budget Ubuntu Developer Computer
はじめに
Rust で Bevy を使って 2D ゲーム開発を始めたかったのだが、手元には Windows PC しかない。
もちろん Windows でも開発はできるのだが、Windows ネイティブ環境で開発してると普段 WSL 環境で慣れている Linux コマンドが使えないし、 WSL の Ubuntu 仮想環境で開発する場合は、WSLg を介して Windows の GUI 環境を使うことになる。ただし機能やパフォーマンスの面で限界があるらしく、 Linux ネイティブ環境に比べると開発体験が劣るようだ。
手元には執筆時点で3台のPCがあるが、メインのデスクトップのOSはもちろん変更したくないし、WSLができるのにデュアルブートをするのは奇っ怪すぎる。 ラップトップも同様で外出時のメインPCなので、Ubuntu 化は難しい。 もう1台はマザーボードも含め2025年現在では古いパーツ構成となっており、最新の Ubuntu 24.04 LTS をインストールする開発用PCとするには不向きだ。またこのPCは手放す予定でもある。
そうして新たに Ubuntu マシンを作ることに決まった。
自作PC世界の情勢
2025Q1 時点でのパーツごとに円建てでのお得度合い(過去数年でのお得感との推移を踏まえた今のお得感)には以下のような所感を持っている。
お得度合い | パーツ | コメント |
---|---|---|
良い | SSD, HDD, | ストレージは値下がり傾向(中華勢のチップを載せた格安ストレージメーカーが勢力拡大していて、全体的にお得な状況が継続) |
そこそこ良い | メモリ | DDR5, DDR4 との価格差は依然大きい。DDR4 は安い |
普通 | ケース | 半導体市場の影響を直接は受けないので、お得感に大きな変化なし |
若干悪い | 電源 | 半導体市場の影響を受けて値上がりしている。国内の入手先では日本企業の製品が多いのも原因 |
悪い | GPU | 依然悪い |
最新世代のGPUを新品で入手したいなら、それだけでも最低で4万円程度の予算が必要となる。
さて今回は総額4万円で開発用のPCを作りたいのだった。
マザーボードの価格は対応する CPU チップセット・メーカーによって大きく異なっており、チップセットの世代によっては対応するメモリの世代 (DDR4? DDR5?) も価格帯も異なる。 つまり、予算の大きさを左右するファクターは選ぶチップセットにある。
メーカー | ソケット形状 | チップセット | お得度合い | コメント |
---|---|---|---|---|
AMD | AM4 | B450, B550 など | 非常に良い | 型落ちのチップセットとなったが 2024年に AM4 ソケットの新CPUが発売されたこともあり息が長い。 |
Intel | LGA 1700 | B460, B560 など | 良い | Intel 14世代の CPU まで対応。市場の流通量、製品の選択肢が多い。 |
AMD | AM5 | B650, B850 など | そこそこ良い | 最新世代の AMD CPU が採用している。AMD のソケット形状は息が長いので、BIOSアップデートすれば今後発売されるCPUに換装して使い続けられる可能性が高い。 |
Intel | LGA 1851 | B860, Z890 など | 悪い | 最新世代の Intel CPU Core Ultra シリーズが採用している。安価な製品群がない。 |
AM4 ソケットの CPU で即決ということになる。各製品の価格トラックを確認すると Zen 3 世代のCPUに対応するマザーボードもタイミングによっては4千円を切る価格で入手できるようだ。
入手方法
さて、なるべく低予算でしかしパフォーマンスを求めるPCを作る場合、製品選びだけでなく入手方法についても視野を広げる必要がある。つまりは価格.com の守備範囲外にまで。 具体的には Aliexpress とフリマサービスを入手先の選択肢として加え、パーツの性質ごとに適切な入手先を選択するの肝心だ。
パーツごとに各種入手先を検討する積極度をまとめる。
CPU
一般的に CPU は他のコンピューター部品と比べて長寿命で、10年以上前の CPU でも未だに問題なく使用できることが多い。また流通する製品は Intel か AMD の 2社が販売しているものだけなので、 限られたメーカーが設計、製造したチップを使って有象無象のメーカーが製品化しているSSD, GPU と比べて、流通製品種数が少ないので、1製品あたりの流通量が多い。 なので、10年以上前の中古 HPC/エンプラ向けサーバー 用の CPU が Aliexpress では 1000円台で購入できたりする。
もちろん CPU を新品で Box で購入するのが最も一般的で低リスクだが、一度視野を広げて他の入手先も考慮してしまうと比較的高額な入手方法になる。
入手方法 | 積極度 | コメント |
---|---|---|
パーツショップ、大手ECサイトなどで新品 Box を購入 | 高 | 保証が確実に受けられる、偽物の可能性はない。 |
パーツショップ、大手ECサイトなどで中古を購入 | 中 | 保証が受けられる場合が多い。偽物の可能性はない。 |
Aliexpress で未使用のバルク品を購入 | 中 | 返品手続きが面倒、偽物の可能性はある。安い。 |
フリマサービスで中古品を購入 | 低 | 返品手続きが面倒、動作不良、故障品の可能性がある。価格は Aliexpress と同程度~やや高い。 |
フリマサービスで未使用のバルク品を購入 | 低 | Aliexpress や Alibaba で購入したバルク品を転売しているものがほとんど。ただしたまに在庫処分的な低価格で出品されているものもある。 |
今回の方針に立ち返ると、Aliexpress で未使用のバルク品を購入するのが適切と判断した。
マザーボード/電源
製品は回路がむき出しで、発熱するあらゆるPC部品と接続して使用する部品がマザーボードの特徴である。 適切な保管をしなければ回路上の部品が欠損してしまったり、そもそも熱刺激を受けて回路上の部品の多くが消耗しているはずなので、中古品を購入するのは避けるべきとなる。電源も同様。
入手方法 | 積極度 | コメント |
---|---|---|
パーツショップ、大手ECサイトなどで新品を購入 | 高 | 保証が確実に受けられる、偽物の可能性はない。 |
パーツショップ、大手ECサイトなどで中古を購入 | 極低 | 購入してすぐに寿命を迎えるリスクが新品より非常に高い。新品とそれほど価格差がない。 |
Aliexpress で新品を購入 | 低 | 国内のパーツショップ、ECサイトと価格差がない。流通製品種数が実は少ない。 |
フリマサービスで購入 | 極低 | 返品手続きが面倒、動作不良、故障品の可能性がある。特にマザーボードでは未使用と謳っていて実際に未使用だったとしても保管方法が適切でないと回路が壊れている可能性はある。 |
Intel Xeon E5 v3, v4 世代のマザーボードは非常に安価な新品が Aliexpress で入手できるが、他のチップセットでPCをつくる場合は基本的にパーツショップや大手のECサイトで購入するのが良い。
メモリ/SSD
マザーボードとは違い回路基板、電子部品がむき出しではないので、CPUほどではないが何れの入手先も候補に入る。
入手方法 | 積極度 | コメント |
---|---|---|
パーツショップ、大手ECサイトなどで新品を購入 | 高 | 保証が確実に受けられる、偽物の可能性はない。 |
パーツショップ、大手ECサイトなどで中古を購入 | 中 | 中古ストレージは通電時間、書き込み量、製品のTBWが購入を見極める重要な指標。 |
Aliexpress で新品を購入 | 高 | 国内の入手先に比べて返品手続きが面倒だが、主要メーカー公式のストアもあり、流通製品数も多い。性能的に魅力的で中華チップ、NANDを使った国内で流通していない製品が多い。 |
フリマサービスで中古品を購入 | 中 | 返品手続きが面倒、動作不良、故障品の可能性がある。中古ストレージは通電時間、書き込み量、製品のTBWが購入を見極める重要な指標。 |
フリマサービスで新品を購入 | 低 | Aliexpress や Alibaba で購入したバルク品を転売しているものがほとんど。ただしたまに在庫処分的な低価格で出品されているものもある。 |
GPU
GPUには背面基板がむき出しのものと、背面基板が露出しないようにバックパネルで保護した製品がある。背面基板がむき出しの製品を中古で購入するのはマザーボードと同じような理由から避けるべきとなる。
入手方法 | 積極度 | コメント |
---|---|---|
パーツショップ、大手ECサイトなどで新品を購入 | 高 | 保証が確実に受けられる、偽物の可能性はない。 |
パーツショップ、大手ECサイトなどで中古を購入 | 中 | 保証が受けられる場合が多い。偽物の可能性はない。 |
Aliexpress で新品/中古を購入 | 低 | 流通製品数が実は少ない。悪質な出品が多い。 |
フリマサービスで新品を購入 | 低 | 転売なので基本は避ける。 |
フリマサービスで中古を購入 | 中 | 出品者に心配になる評価がついておらず、製品の動作確認の結果やその証拠がある場合は選択肢に入る。 |
PCケース
予算に占める割合は基本的に小さく、パーツショップ、大手ECサイトなどで新品を購入するのが一般的。 製品サイズ的に梱包費、輸送費が高くなる一方で製品価格は安いので、単体の中古販売は利率が良くなくあまりされていない。
入手方法 | 積極度 | コメント |
---|---|---|
パーツショップ、大手ECサイトなどで新品を購入 | 高 | 保証が確実に受けられる、偽物の可能性はない。 |
他 | 極低 | 単体の中古品はほとんどない。価格差もほとんどない。 |
そのほか
- HDD: パーツショップ、大手ECサイトなどで新品を購入するのが一般的。
- 熱対策関連のパーツ (サーマルパッド、グリス、ファンなど): パーツショップ、大手ECサイトなどで新品を購入するのが一般的。CPU/ケースファンは安価な新品の中華製品が Aliexpress で入手できる。ファンは構造が単純なので Aliexpress での購入も良い。
パーツ選定
さてパーツごとに入手先の積極度が高い場所からパーツを探して、お得な商品があればその価格を起点に他の入手先を軽く調べて、より魅力的な商品を選定して購入する。 今回は以下のようなパーツを選定した。
パーツ | 製品 | 購入先 |
---|---|---|
CPU | AMD Ryzen 5 5600G, 5700G, 5600 or Ryzen 7 5700X (TDP: 65W) | Aliexpress |
GPU | APU or 手元にある使用歴のある NVIDIA GTX 980 (TDP: 165W) | APU or owned |
マザーボード | 新品 MSI B550M PRO-VDH WIFI (Micro ATX, GPU: PCIe 4.0 x16, M.2(CPU直結): PCIe 4.0 x4, M.2(共通): PCIe 3.0 x4, Display Port x1, HDMI x1) | パーツショップ |
メモリ | Crucial DDR4 3200MHz 16GB x 2 | パーツショップ |
SSD (System) | ORICO 1TB M.2 NVMe PCIe 3.0 x4 | Aliexpress |
SSD (Secondary) | 手持ちの未使用 512GB M.2 NVMe PCIe 3.0 x4 | owned |
電源 | 新品 COUGAR ATLAS650 (550W 80PLUS Bronze) | パーツショップ |
ケース | 新品 Thermaltake Versa H18 (Micro ATX, ケースファン付属) | パーツショップ |
CPUグリス | 手持ち | owned |
CPUファン | デュアルファン | Aliexpress |
CPU をどれにするかは、Aliexpress ではじまるセール次第。ただしいずれのCPUも 6cores/12threads 以上なので、コーディングと軽い2Dゲームのビルド、実行をするだけなら何れも問題ない。 ただ開発の一環で参考となる他のゲームをプレイする際に使用するPCを切り替えるのは面倒なので、比較的パフォーマンスが高い Ryzen 7 5700X を選びたい。 また選んだマザーボードではオンボードのディスプレイ出力が2枚分なので、3枚以上のディスプレイで開発できないので、やはり内蔵GPUのない CPU と手持ちの NVIDIA GTX 980 の組み合わせが良さそう。
さて調達費用は?
4万7千円となった。 ドル建てにすると約300ドル。300ドルでこのスペックのPCを作れたと思うと途端にお得感が増してくるのが為替の不思議。